ミニチュアシュナウザーに対して「金持ちが飼っている犬」という印象を持っている人もいるはずです。特徴的な眉毛と口ひげ、そして賢く活発な性格であることからセレブにも愛用されているイメージがあるのもわからなくはありません。
実際のところ、ミニチュアシュナウザーは金持ちを象徴するような犬なのでしょうか?
この記事では、「ミニチュアシュナウザーは金持ちしか飼えない?」という疑問について考察しています。気になる値段や単月コスト、実際にかかっているお金の話もまとめているので、これからミニチュアシュナウザーを飼おうと考えている人たちは参考にしてみてください。
ミニチュアシュナウザーは金持ちしか飼えない?
結論から言えば、ミニチュアシュナウザーは「金持ちしか飼えない」わけではありません。
ペットフード協会が実施した『2023年の全国犬猫飼育実態調査』によれば、犬に関する1ヶ月の支出総額の平均は16,156円となっています。この数値に対して、ミニチュアシュナウザーに平均的なケアを施す場合にかかると見込まれる1ヶ月の支出総額の平均は約23,100円です。

平均で発生する飼育費用に対して数万円単位の格差があるわけではないので、必ずしも「ミニチュアシュナウザーは金持ちじゃないと飼えない犬」ではないと言えます。
けれども、ミニチュアシュナウザーはお金に余裕がないと安全に飼えないのも事実です。具体的に言うと、他の犬種と比べて1ヶ月に1度を目安にトリミング費用が発生します。店舗にもよりますが、1回のトリミングにかかる費用は1万円くらいは覚悟しておきましょう。
ミニチュアシュナウザーの値段
ミニチュアシュナウザーの購入価格の相場は10万円~25万円です。この価格は犬種の人気や血統、毛色、性別、年齢などによって大きく変動します。毛色が珍しいものや、頭と体のバランスが良い個体、顔立ちが整っているミニチュアシュナウザーは価格が高くなる傾向にあります。繁殖可能なメスはオスよりも数万円高くなることが一般的です。
ペットタイプとショータイプでも価格に差があり、両親がタイトルホルダーの場合は25~30万円の値がつくこともあります。これは、優れた血統や健康状態が保証されていることの証でもあり、将来的な健康問題のリスクを減らす意味でも重要な要素です。
購入先によっても価格は変わります。一般的には、ペットショップ、ブリーダー、保護団体などから購入することができますが、それぞれメリット・デメリットがあります。ペットショップでは比較的簡単に出会うことができますが、ブリーダーから直接購入する場合は、犬の成育環境や親犬の様子を確認できるというメリットがあります。保護団体からの譲渡は価格が抑えられる可能性がありますが、子犬ではなく成犬のケースが多いでしょう。
さらに、購入価格だけでなく初期費用として以下のものが必要になります。
- 混合ワクチン接種:約16,000円
- 狂犬病予防接種:約3,500円
- 健康診断:約3,000円~20,000円
- 畜犬登録:約3,000円
- 各種飼育グッズ(ケージ、食器、トイレトレーなど):約30,000円~50,000円
これらを合計すると、ミニチュアシュナウザーを迎えるための初期費用の総額は15万5,000円~30万5,000円程度となります。この金額は決して少なくありませんが、長い目で見れば、むしろ月々の維持費の方が重要になってきます。
ミニチュアシュナウザーにかかる単月コスト
それでは、ミニチュアシュナウザーにかかる単月コストはいくらなのでしょうか?
実際に、筆者がかけている費用を参照すると、以下のとおりです。
ミニチュアシュナウザーにかかる単月コスト
項目 | 最低ライン(月額) | 高品質・充実飼育(月額) | 補足・根拠 |
---|---|---|---|
ドッグフード | 約2,600円 | 約12,000円 | 量販店フード~国産無添加フード |
おやつ | 約2,000円 | 約2,000円 | しつけ用ご褒美等 |
トイレシーツ | 約1,000円 | 約1,000円 | トイレ用品 |
散歩用うんち袋 | 約1,000円 | 約1,000円 | 消耗品 |
トリミング | 約6,000円 | 約10,000円 | 月1回想定 |
ケア用品(シャンプー等) | 約833円 | 約833円 | 年1万円を月割 |
医療費(ワクチン・予防等) | 約3,333円 | 約3,333円 | 年4万円を月割12 |
ペット保険(任意) | 約2,000円 | 約2,000円 | 平均的な保険料4 |
電気代(冷暖房等) | 約2,000円 | 約2,000円 | 夏冬の追加分3 |
- 最低ライン合計:20,767円
- 高品質・充実飼育合計:34,167円
ミニチュアシュナウザーが金持ちの犬と誤解される理由
ミニチュアシュナウザーが「金持ちの犬」と言われることには、いくつかの理由があります。その主な要因は、トリミングの必要性、医療費の負担、そして生涯にわたる総費用の高さです。これから3つの具体的な理由を詳しく説明します。
理由1:定期的なトリミングが必須
ミニチュアシュナウザーが金持ちの犬と誤解される最大の理由は、定期的なトリミングが必須であることです。ミニチュアシュナウザーはダブルコートと呼ばれる二重構造の被毛を持っており、定期的なトリミングをしないと毛玉ができやすく、皮膚トラブルの原因となります。
一般的には1~2ヶ月に1回のペースでトリミングを行う必要があり、1回あたりの費用は約8,000円~10,000円です。これを年間で計算すると約10万円~12万円の費用がかかります。これは小型犬の中でも特に高額な維持費の一つです。
特に、ミニチュアシュナウザー特有の長い眉毛や口ひげを美しく保つためには、専門的な技術を持ったトリマーに依頼する必要があり、トリミングサロンによっては高額な料金設定になっていることもあります。自分でトリミングを行うことも不可能ではありませんが、特殊なカット技術が必要なため、多くの飼い主はプロのトリミングサロンを利用しています。
理由2:医療費の負担が大きい
ミニチュアシュナウザーは比較的健康な犬種として知られていますが、いくつかの遺伝的な健康問題を抱えやすい傾向があります。特に尿路結石、皮膚炎、白内障などのリスクが他の犬種と比較して高いとされています。
これらの病気にかかると、治療費が高額になることがあります。例えば、尿路結石の手術費用は10万円~20万円、白内障の手術は片目で15万円~25万円程度かかることもあります。また、皮膚炎などの慢性的な症状の場合、継続的な通院と薬代が必要になります。
定期的な健康診断や予防接種も欠かせません。年1回の健康診断(5,000円~20,000円)、混合ワクチン接種(5,000円~10,000円)、狂犬病予防接種(3,500円)に加えて、フィラリア予防やノミ・ダニ予防も必要です。
これらの医療費を考慮すると、健康な状態でも年間約2万円~3万5,000円の費用がかかり、何らかの疾患を抱えると年間10万円以上の医療費がかかる可能性もあります。このような医療費の負担も、ミニチュアシュナウザーが「金持ちの犬」と言われる理由の一つです。
理由3:生涯費用の総額が高い
ミニチュアシュナウザーの平均寿命は約13~14年と比較的長寿です。この長い期間にわたって飼育を続けると、生涯にかかる総費用は約238万円~260万円に達します。具体的には以下のとおりです。
- 初期費用(購入代金+初期グッズ+初期医療費):約31万円
- 年間維持費(フード代+トリミング代+医療費+消耗品など):約17万5,000円
- 13年間の維持費総額:約227万5,000円
- 生涯総額:約258万5,000円
これは決して少ない金額ではなく、車1台分の購入価格に匹敵します。月々の費用は約1万円~1万8,000円程度と管理可能な範囲ですが、13年以上にわたってこの費用が継続することを考えると、相当な経済的負担になります。
また、高齢になるにつれて医療費が増加する傾向にあります。11歳以上のシニア犬になると、定期的な血液検査や腎機能検査、場合によっては特別な食事療法やサプリメントなども必要になり、さらに費用がかさむ可能性があります。
このような長期にわたる総費用の高さが、ミニチュアシュナウザーを含む純血種のペットを「金持ちの犬」と印象づける大きな要因となっているのかもしれません。
ミニチュアシュナウザーを飼うには経済力が必要
ミニチュアシュナウザーに限らず、犬を飼育するには一定の経済力が必要です。特に、病気や事故が起きたときには、人間と違って診察料が高くなります。ただ、それはミニチュアシュナウザーに限っての話ではありません。どの犬種でもそれなりの費用がかかります。
「金持ちの犬」とまではいかないものの、他の犬種と比べてトリミングの費用がかかることを留意しておきましょう。言うまでもなく、お金には替えられない大切な家族との生活です。とはいえ、金銭的な余裕がないと、健康を維持してあげられませんから計画的に飼うことを検討することが重要です。
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